プレシジョンフィット レーサーの場合

今回は本人の許可を得てフィッティングについて踏み込んだ話を描書こうと思います。
時々一緒に練習をしていた仲間から「どうしてもライド中に股間が痛くなる」という何とも切実な悩みを相談されました。練習した時は、ワタシは彼が速くてブッ千切られるだけなので、ああ速いなー位にしか思ってませんでした。脚もよく廻ってるしフォームだって悪くない。仔細に観察していた訳でもないのですが、大きな問題を感じていませんでした。

まずはアセスメントシートを記入して貰います。ワタシ実はこの「インタビュー」をとても大切にしています。記入していただいている間の「話」に沢山のヒントが隠されているからです。本人が忘れていたような怪我、それによって引き起こされる身体の癖、日常のお仕事の事(バイク乗ってる時間よりも遥かに多く時間を「仕事」に費やされていると思います)
話している間の座り方、身体の向き、仕草など沢山のデータを収集しています。

また、バイクの乗り方についての方向性についても詳しくお聞きします。ロングライドがしたいのかレースが楽しいのか?そんなことについてもお聞きします。


今回のバイクは某S。。。なバイク。はい、プレシジョンフィットは別にTREK専用ではありません。専用ステムやハンドルなどが必要でなければ、大体どのブランドのバイクでもフィッティングをする事ができます。セッテイングにお悩み時は、まずはご相談ください。

いやいや、レーシーなセッティングでカッコいいですね。。。

まずは現状のセッティングを確認します。この時にペダリングスキルなども見ていきます。身体のどの部分を使っているか?など仔細にチェックをしていくのです。また、インタビューで確認した身体の特徴などが、実際にバイクの上でどうなっているのか?確認します。

身体の柔軟性なども確認します。写真はありませんが、調べる項目は足の先から頭まで、隅から隅までチェックをしていきます。インタビュー時に感じた身体の特徴も、ここで確認をしています。このライダーの場合は右の腰が少し高くなっていて、股関節とハムストリングの柔軟性に左右差がありました。恐らく日常のデスクワークでの座り方の癖が影響しているのかな?と感じました。


これは仮で修正後の写真ですが、自転車を始めたての頃に見栄を張ってサドルを高くして(笑)膝を痛めたのがトラウマで、理想的な高さから2センチくらい低くなっていました。彼はペダリングスキルでサドルの低さをカバーしていていました。それはそれで悪くはないのですが、どうしても下死点付近と上死点での足の通過がさせずらくなっていました。常に力が入っているようなペダリングだったという事もできます。

でも、フィジカルが高いので全てカバーして速く走れてしまうのです。
そして、このライダーにとって力が入るは「力が入ってる感じがする」失礼を承知で言えば「力んだフォーム」が「いいポジション」になっていました。

また当初の悩みであった「股間が痛い」はサドルにありました。坐骨と恥骨部分とをしっかりと支えるコンセプトのモデルなのですが、彼の場合は真っ直ぐに座る事が難しく、そのことにより、サドルの前側に正しく接しなくて、血管や神経を圧迫していたのが原因でした。このサドルで適切な高さを出し、座り方を指導する事でも問題を解決できますが、今回はサドルを交換することにしました。

サドルを実際にチェックしていきます。前のサドルが悪いわけではありません。「合う」「合わない」があり、それに対して根拠にがあります。坐骨結節幅を計測してサドルのサイズを選び、身体の傾向を見て好みのモデルをいくつか提案します。

サドルの高さが高くなったので(なんと2センチ)より、サドルに正しく骨盤をマウントしなければならず、サイズが合った事により腰の向きも真っ直ぐに修正されていきました。
次にハンドルの高さや向きなどを設定します。身体の表情を見ながら、様々な質問をしながらセッティングを進めていきます。

競技経験のある方のフィッティングは、数値的な変化が少ない事が多いのですが、今回は意外と大きくサドル高などの数値が変化しました。この変化により「ペダリングするとなんか速く足が流れてしまう」「でも同じワットなのに楽に感じる」そんなコメントがありました。

そう、どのレベルの人でもフィッティングをすると「楽に」なる事が多いですね。今回は少々踏み込んだ内容で長くなってしまいましたが、参考になれば幸いです。

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