ちゃんとした走り方を知るという事

■レースって怖くて危ないんでしょう?

「レースやイベントでの走行が危ない」「レースでの走行マナーが」「どこそこの誰それが斜行した」
そんな話もよく耳にしますし、最近はレース中の動画なども気軽に取れてUP出来ます。
その動画を見ると、ワタシも「危ないなー」「怖いなー」とも思います。
また、実は前職時代は殆どロード系のレースイベントにも出ていませんで、このサンクスサイクルラボで久しぶりにエンデューロレースに出たりもしたのです。その時の印象ですか?
「怖すぎる!」の一言でした。

その怖すぎるは、レース中に中切れを起こして後ろの某怖いプロチームの先輩から、中切れを埋めるまで怒鳴られ続けるとか、そういう事じゃなくて。。。

リアルに統率の取れていない、ロードレースの行動セオリーや、集団内での危険回避を解らない。そういう中で、少しでも優位に走ろうとする人の群れの怖さのような感じです。
混雑した駅の階段で、上りと下りが決められていなくて、ホームと改札に向かって思い思いに人が向かってくる。そんなイメージでしょうか(違うか。。。

■本当はレースもイベントも危険じゃないし怖くないはず。気持ちいいものです。

ワタシが経験した一番「怖くなくて」「危なくなくて」「気持ち良い」レースの瞬間はというと、10年くらい前に走ったツアーオブジャパンという国際レースの奈良ステージでした。パレードを終えてリアルスタートが切られて、ダム湖の周回路に入るのですがラファコンドルとかカザフチームが前を引き始めると、レースは急に早くなり。。。自分はもう苦しいのに、ペロトンの周りの空気が塊のように移動して、まるで負圧がかかったようにそこに吸い込まれていきます。パッとメーターを見ると55キロくらい。でも走ってる感覚としては40キロくらいに感じます。
いままで走ってきたレースで時速50キロ前後の集団だと、若干の緊張感が伴います。最近出たツールド沖縄だとかなり「警戒モード」になるものです。

「全然怖くないし、気持ちいい。。。でも、この心拍のまま3時間とか走れる訳ない。。。」

そう思いながら、、、ええ、しばらく後に千切れました。プローログ後の第一ステージからグルペットでどうにかレースを終えました。本当のプロ達がキチンと走るレースは速度域が高くても、曲がりくねって路面が多少悪い道でも、怖さがある訳ではないのです。

いつの日か日本のレースやイベントも、誰にとってもそうなると良いな。本気でそう思っています。

■FTP値とか体重の何倍だとか、重要だけれど本当に大事なのはそこじゃない。

皆少しトレーニングを積むと「CTLがいくつ以上ないとレースは。。。」とか「FTPが何ワットないとレース出る資格ないですよね?」なんて話をよくされます。体力的な指標はとても大事です。でももっと大事なのは「転ばない事」「安全にレースを完走する事」なんだと思います。
もっと言うと「安全に集団で走る技術」だとか「レース内でのセオリー」でもあります。
体力指標と技術的な事をごちゃまぜに論じてはならない。と言う意見もあるでしょう。どちらも「レースの要素」である事には変わりはありません。大事なのは「走り方」です。
それはサイクリングロードを楽しく気軽に走るのも、JBCF(全日本実業団競技連盟)のレースを走るのも変わりはありません。

■レースで学べる事も沢山あるけれど、ぶっつけ本番はやめましょう

レースで学べる事は沢山あります。でも「ぶっつけ本番」でセオリーを知る前にレースに出るのはやめましょう。自分も周りも危険に巻き込んでしまうからです。
では、どこで学びましょう?サンクスサイクルラボの各種イベントでは、なるべく「走り方」のアドバイスを少しづつするようにしています。ビギナーライドでは、安全に長く走る走り方を。トレーニングライドでは、ある程度実践的な内容に踏み込む事もあります。ライド後に「走り方」について質問される場合も良くあります。どんなレベルでも良いんです。聞いてください。答えられる範囲でお答えします。ロードレース、マウンテンバイク、シクロクロスどれも国内トップカテゴリーには居た事ありますので。レースじゃなくてもメッセンジャーという仕事の経験もあります。街乗りの仕方も多少は分かります。何が危なくて、何が危なくないのか?

せっかくこんなにも楽しくて気持ちの良い乗り物が、世の中にあるのです、可能な限り安全に気持ちよく楽しんでもらいたいのです。
「怖いから、危ないから出るのやめよう。やってみるのはやめておこう」
これを減らせたら良いなぁ。。。そう思って居ます。日本全部にそうするのは難しくても、少なくとも自分の身の回りに居てくれる方だけでも。もし、そう思ってくれるショップが増えて、実践してくれて、そこのコミュニティにライダーが集まってくれたら。。。そう願って居ます。

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