「以前のように思い切り走りたい」そんな方のバイクフィッティング

■ライダーの「これからしたい事」を掘り出すのが一番大切なフェーズです

「ここ最近忙しくて全然乗れなくて。。。」「でも、ちゃんと乗れるようにしたくて。。。」今日プレシジョンフィットを受けられた方は、インタビューの時のお話から徐々にこんな要望をお持ちなのが解ってきました。
以前はレースに出たりトレーニングを沢山されていた方で、ここ1年くらいの激務で、ウェイトも激増してしまいました。また忙しくて乗れる時間も少なくて、乗りに行っても以前のようには乗れない状況。そんな状態なので、フィジカルレベルが落ちてしまったようです。

インタビューシートに書かれる内容などから、雑談やトレーニングの話だとか過去に出たレースの話やイベント話などから、その人の色々な事を掘り起こしていきます。

■「乗れなくなっているので、サドルを下げてハンドルを近くしました」

この方は乗れなくなった時期に、ペダルを底面距離の違う物に変更したそうです。その時に違和感を感じたのか、サドル高を15mm以上下げたそうです。通常ペダルの底面距離自体が変わっても2-3ミリ程度なので、変化するとしたら数ミリの変化に止まります。またサドル位置も大きく前に出されていて、ステムは20mm短く、ハンドルのリーチは短くドロップは少ないものに変更されていました。

インタビューを終えてバイクに跨っていただいて、軽くペダリングをしてもらいます。上死点での脚の上がり方や、動かし方など、前から見た時の膝の動き。
今回の場合は「全体的に縮こまった感じ」が漂います。バイクのペダリング等は改善点がいくつかはあるものの、全体的には悪くありません。
「今思うように走れていない」という感覚から、バイクのセッティングを小さく縮こまったポジションに変えてしまった事が、身体の動きを大きく引き出せない要因となっていたようです。
今回のフィットは基本的に「乗れていた時のセッティングに近い方向性」にアレンジしながら戻していくという作業になりそうです。

■以前からのこだわりのサドルを変更

サドルは以前からこだわって使っていた「セライタリアのSLR」の旧型です。これ、カッコいいし軽くて一時期ワタシも使ってました。実は以前フィットを受けられたことがあるそうなのですが、その時にも幅広をサドルを提案されたようです。

しかし、サドル自体にもこだわりがあったし、幅広のサドルにする重要性が感じられなかったそうで変更を見送ったのだそう。ただ、坐骨結節の幅が130mm程あるので、サドル幅で130mmのSLRでは骨に対してのサドル幅が狭すぎるのです。今回は新製品の「Aeolus 155mm幅」をチョイス。セットしてみると、とても好感触!坐骨結節の幅に正しくあったサドルを選ぶと、大腿骨を上げやすくなるのです。

サドルを以前の位置に戻すと、大転子・膝関節」くるぶしの角度が理想的になってきました。サドルに正しく座れるようになってもらってから、前後位置を調整していきます。身体の使い方や、筋肉の使い方や動きの感じ方をレクチャーしたせいもありますが、ダイナミックに大臀筋を使うのが意識できるようになりました。

■縮こまったフォームからステム変更で身体を大きく使えるように

短くしたステム長を1センチほど長くしました。以前のポジションよりもサドル位置は少し後ろになっているので、フォーム的にはほぼ同じくらい。ハンドルのリーチとドロップが少ない分、前はもっと攻撃的なセッティングだったようです。恐らくそのセッティングだと、乗れていた当時でも少々身体が伸び気味になり、これよりも落差が大きいと下ハンではハンドルに寄りかからないと、上体が保持し辛かったはずです。

実際にはもう少しだけハンドルの高さを上げたいところですが、バイクの前側の寸法や上体の位置に対しての前輪位置を考えると、フレームサイズが少しだけ小さいように感じます。次乗り換える時にはこのバイクよりももう少し大きなサイズが必要になりそうだなと感じました。
この写真を撮った後に、ブラケット位置を変更して手首が上向けられるのを解消して大体のフィットは完了しました。
フィッターとしては「乗れていた時代のフォームになるように、セッティングをアレンジしながら戻した」という感覚です。あとは在庫切れしていてセットできなかったインソールを変更したらフィットは完成です。

あとは、少しでも乗る時間を作りながら、地道にトレーニングしていきましょう!ぜひ「ツールドおきなわ」のスタートラインで会いましょうね!

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