今期大注目の1台とも言える「MADONE SLR Gen8」試乗する機会がありましたのでインプレッション記事を書いてみます。この日はプレスやインフルエンサー向けの発表会を兼ねた日で、六本木周辺を1時間程ライドすることができました。
もう様々な媒体で徹底的に作り込まれた記事が出ていますので、新しい構造で、新しい素材で…という話は置いておいて「乗ってみたらどうだった」この部分にフォーカスをしていきます。
ジオメトリーとサイズについて
ライドフィールの話の前に、どうしても書いておきたい事でもあるので少々マニアックですがお付き合いください。
TREKのレースバイク用ジオメトリは、Madone Gen5の頃のH1・H2スケルトン(主にヘッド長とトップチューブ長が違う)から、Madone Gen6/7のH1.5(ヘッド長が統合された)となり、今回のRoad Raceジオメトリーとなりました。
今回のジオメトリ変更は割と大掛かりなもので、サイズバリエーションの統合という意味合いもありますが、少し設計思想が変化したんだなと読み取れる部分があります。細かい部分は割愛しますが、縦方向の振動吸収を意識したシート角だったり、小さなフレームサイズ(XS・S)のヘッド角が緻密に変えられていたりしています。今回試乗をしてみて感じた大きな変化の一つでした。
適正サイズについて
私(小岩店鈴木)の身長は166センチです。TREKの公式ページを見ると身長を股下を記入するとサイズを出してくれるページがあります。ここに記入をすると私はMサイズとなり、従来のMadone Gen5〜7だと、52サイズがベストになりますが、今回の52サイズ(現行だとM)は少し大きくなり、私には恐らく大き過ぎます。
そうなると適正サイズはS相当であると思われますが、この辺のサイジング問題はかなりシビアですので、是非販売店やフィッターの居るお店で相談して欲しいです。(同じ身長で同じサイズとは言い切れない部分ですので)
最近はクリックコレクト(公式通販)から受け取り店舗の指定で購入される方もいらっしゃいます。しかし、決して安いお買い物ではありません。一番吟味が必要な部分でもあるので妥協せずにサイズ選択をして頂きたいです。
ちなみに、今回試乗したのは最小サイズのXSです。個人的にはSサイズがベストだったのですが、試乗車の都合などででXSになりました。とは言えあまり悲観的ではなくて、というのも自転車を作る上で最小サイズというのはどうしても破綻しやすくて難しいのです。なのでどれ位進化したのかがとても楽しみでした。
正直なところGen6までの50以下のサイズは、何処となくハンドリングが好きになれませんでした。逆に52サイズのハンドリングはとても素晴らしく、TREKのバイクを愛用し続ける理由の一つでもあったのです。
バイクの基本性能は下りで判断する
これは私の特殊なインプレッションの手法でもあります。極論言うと高速のダウンヒルで、ハンドリングが破綻するバイクはどんなに軽かろうとダメです。持論はさておき、早速距離は短いですが下りで試してみました。
「すごい!最小サイズなのにハンドリングが破綻してない」
今回のMadone Gen8 最大の驚きでした。他の性能は事前情報があるのである程度「答え合わせ」のような部分がありましたが、ダウンヒル性能の高さだけは想定外でした。
「ツールドおきなわ」や「ニセコクラシック」のような高速域のダウンヒルが含まれるラインレースを狙う人には大きな味方になるでしょう。特に女性ライダーで身長が160センチ前後の方に積極的にお勧めしたいバイクです。
Emondaに近づいた登り性能と抜群の振動吸収性
Madone Gen7に乗ったときもペダリング性能の進化について感じましたが、Gen8はかなり変わったと感じるのは確かです。
今回のテストライドでは都心部の急坂も登坂しましたが、この時のフィーリングは秀逸でした。本当にEmondaみたいと言うのが正直な所です。バイク後半の有機的な感じが増しています。これはなかなか良かったですね。
もう一つ触れておきたいのは「振動吸収性の高さ」です。IsoFlow(アイソフロー)によるものだけでは無く、恐らくジオメトリーも好影響してるのでしょう。
今回のMadone Gen8について感じるのは「全方位にバランスの取れたバイクになった」と言う事です。一歩間違えると中途半端に思えるかもしれませんが、どのシチュエーションでも使える事がレースバイクとしては大事なのです。
そう思えばMadone Gen8は完璧に近づいたと思う反面、特徴が解りづらい(全方位に良過ぎて)とも言えます。ただレースを中心としたライドを楽しみたいライダーにとっては最高のバイクになるのは間違いないと思えますね。
妥協せず納得のいくオーダーをお願いします
Madone SLRは、Project Oneによるカスタマイズが可能です。カラーリングだけではなく、コンポーネント(ドライブトレイン、ホイール、ハンドル、サドルなど)のグレードやサイズまで細かいオーダーが可能です。本文中にも書きましたが、決して安いものではありませんので、フレームサイズも含めて妥協せず納得のいくオーダーをしてくださいね。