■エンデューロレースやクリテリウム・ロードレースでの「走り方」について
去年から西葛西店のトレーニングライドメンバーを中心にJBCF(全日本実業団自転車競技連盟)でのレース参戦に取り組み始めて、「筑波8耐」「もてぎ」「川崎マリンエンデューロ」などのイベント系レースにもお客様と参加するようになり、少々思うところもあり「走り方」について触れてみようかなと思いました。
ワタシ自身はロードに関して言うと、一時期末席ながらトップカテゴリーのレースに参戦しておりました。その経験などを踏まえた上でのお話です。
■エンデューロとロードレースの違い
一つ言える事は「エンデューロはロードレースに近いけれどロードレースではない」という点です。昨今では長距離系市民レースの練習場所として「エンデューロ」を捉えている人が増えてきていてソロクラスにエントリーして「事実上のロードレース」のように走るという状況になってきています。
本来であれば周回コースだと、最低でも先頭からラップされたら、もしくは一定時間遅れたら、、、それが仮にワンウェイのレースであってもレースから降ろされてしまう。これがロードレースでの鉄則です。
周回遅れのライダーや、チーム戦のライダーが次々と追いつかれた集団に乗ってきてこれによって、走力と体力や技量が違うライダーが常に同一集団に居る、という状態になるのは「エンデューロ」ならではの状況と言えます。
エンデューロの場合レースの目的の中に「決められた時間なるべく多くの周回を走りたい」「とにかくレースの雰囲気を楽しみたい」というライダーと「ガチレースの勝負を楽しみたい」という思惑が違う人が一つの集団内にいるというのが状況を難しくします。
■何故集団で走るのか?何故ローテーションをするのか?
「何故ローテーションをするのか?」「なぜ集団走行するのか?」はひとえに「空気抵抗を分担し合う事で、より速くより多くのライダーが生き残る」が基本戦術でサーキットエンデューロであってもロードレースであっても「集団によって効率よく走る」「長い時間を走る」と言う事には変わりがありません。
この「効率よく走る」の部分で非常に重要な事があります。「一定の速度ないしは負荷で走る」という事です。
集団の前段では空気抵抗を分担し合い、ある程度前を引いたら集団の中段から後方に下がって休みます。なるべく一定のペースを保つ為に最大の努力をします。
ちょっと難しく書きすぎましたね(笑
要はですね。。。無闇にスピードの上げ下げが起こらないようにする!が鉄則なのです。
■「とにかくローテーションが廻らない問題」について
これはエンデューロに参加するロードレース経験者からよく聞かれる話です。正直ワタシの目からしたら「下位カテゴリーのJBCF」でも同様だと思います。
とにかく「前方の展開にぶら下がってるだけ」のライダーがあまりにも多い。「自分から動こうとしない」集団の速度維持に協力できないライダーもしくはチーム(速度維持という点がポイント)は本来なら最終的な勝負に関わる権利はありません。選手の気持ちとしては「勝手に下がって後ろで千切れてくれ」といった所です。登りで無闇にペースをカチ上げたり、中途半端にアタックすることは「前を引く」という事になりません。
無闇に延々と前を引く必要はありません。もし集団に30名が居るとします。大抵は2列状態になることは少ないかも知れませんが、30名が10秒ずつ均等にローテーションするとします。300秒に1回10秒間速度維持できる程度前を引けば良いという事です。コーナーなど実際にローテを回しづらい場所があるので1周7分から10分程度というよくある設定のコースだと1周につき10秒を1〜2回で済みますね?
まぁ、場所によりますがソコソコのペースで(40キロくらい)集団が進んでいるとして、まぁ必要な出力は300wくらいとしましょう。「5分前後のインターバルで10秒間300w出力すればいい」だとしたら、レースに出ている大分多くの人が達成できそうですよね?
エンデューロの場合強い人とそうでない人が混在するでしょう。多少引ける人が10秒の所を20秒引いてあげる。女性や体力的に厳しい人は5秒で下がる。こうしてあげるだけで集団の安定度は格段に上がります。無闇に長く引いて体力を消耗して後半走れなくなる。もしくは千切れてしまうとしたら、思惑が一致して(この際は一先ずレースの展開が始まるまでは一緒に行こう)いるなら迷惑です。
弱いと自覚している人が「前を引いてくれる人に悪い」と思って、変に頑張る必要はありません。一応前に出て一瞬でも引いて下がりましょう。
当然前に出た瞬間やたらモリモリ踏んで後ろを千切りに掛かったり、集団を崩壊させるような動きはご法度です。それで吸収されて千切れるならやはり集団にとっては迷惑な話です。
■ローテーションから外れたら速度を落としてあげましょう
これ出来ない人とても多いです。例えば時速35キロで進行している集団の前を引いているとします。10秒して右ないし左に(これは風向きによって変わります)抜けます。この時に抜けた後も延々と35キロで走り続けてしまう。これはある種のイジメです(笑 ローテーションから抜けたら脚を止めてしまうのではなくて、脚の力を抜いてジワジワと下がります。イメージとしては、自分の次に前を引いてくれている人に「ローテーから外れるスペース」を作ってあげる感じです。そうすれば今前を引いている人は自然に下がれますね。
あ、当然前の人がどいた瞬間にペースを上げるのはナシですよ(笑 ローテが変わる前の速度を維持します。「メーターの速度は一定」「パワーメーターのワット数が上がる」が正解です。
■レース動画見るなら「アタックのシーン」よりも「グルペット」の走り方参考にしましょう
レースの様々な動画は最近は気軽に見る事が出来ますよね?やはりトップ選手の痺れるアタックシーンや、レースの決まる瞬間なんていうのは心が震えるものです。
でも、もしレースの為の勉強がしたい。そう思うのであれば見るべき場所は「アタック」ではなくて「マッタリと流れている集団」「山岳ステージなどで千切れて後方に下がった集団の様子」を観察してみてください。
そこは「効率よく均衡状態の集団」が見えるはずです。
レースにおけるアタックとは「集団の均衡状態を崩す事」です。まず利害が一致した均衡状態の集団を理解しないと「本当のアタックの意味」が解らないと思います。
■グルペットの走り方を覚えたらエンデューロレースはもっと楽しくなる
千切れて、千切られてお終いじゃないんです。効率よく集団を回せるようになると段々と集団が大きくなっていきます。数名だけが前を引かされて消耗して崩壊するんじゃなくて、ローテをしている人の数が増えれば、それだけでその集団の空気の壁が大きくなるのでより「楽に高速を維持」しやすくなります。その状態を是非色々な人に体験してほしいな。ワタシはそう思っております。
解らないときは何時でも聞いてみてくださいね!
この「レースの走り方」系のコンテンツはまた折に触れて書いてみたいと思います。